社長あいさつ

既存と最新のテクノロジーに対応し、
お客様の問題解決にあたる、プロ集団としての“熱”

社長就任からの10年で構築されてきた“想い”

創業からしばらくは「とにかく会社を存続し、発展させていかなければならない」の一念で無茶な事もがむしゃらにやってきた時代。しかしこれからは「自分達の会社だけ」という限られた視点ではなく、ヒーター業界の内部にいる一つのメーカーとして、「広く社会貢献できる存在になっていこう」との強い想いがあり、経営理念を「社会に貢献する仕事を通して社員の働きがいと生活向上に繋げる」としました。ヒーター業界の役割を通し、世の中全体を大きな視野で捉え、貢献していく意味合いがそこには込められているのです。

関わる全ての皆様との関係性を良い方向へ

世の中全体のデジタル化が驚くほどのスピードで飛躍を遂げておりますが、我々としては、今まで積み重ねてきた事業または製品や技術を新たなチャンスに上手く取り入れていくことが必須です。だからこそ、人と人との繋がりを大事にしなければいけません。どんなに時代が変わっても人が重要なことは不変です。その対象はお客様だけに留まりません。仕入先様や外注の取引先様、銀行様、そしてなによりも仲間、同志として働いて下さる社員の皆様。新熱工業に関わって下さる全ての方々との関係性をより良い方向へ持っていくことこそが、事業を通じて我々が最も果たしていくべき事柄なのです。

利益至上主義に偏ることなく、我々だからこそ叶えられる付加価値を持つ仕事をこれからも重ねていくことで、社員の生活向上そして安定に繋げていきます。それには、各社員が新たなスキルや柔軟な発想力を身につけ、自身に課せられた範囲の仕事をスキルアップし、成果に繋げていくことを一人一人が実現できれば結果として大きな社会貢献に結びつけることが出来るに違いありません。「私はこの作業だけやれればいい」という考え方ではなく、積極的にチャレンジし、自ら考え、試みる、省みることにより経験を通しながら様々なお役立ちに発展していく。そういう可能性を広げていける方向へ、一人一人が進んでいって欲しいし、私はそのような環境を作ってあげたいとの想いが強くあります。

次世代の基盤となる、念願の新工場を実現

新熱工業には「仕事とプライベートの両立をはかるからこそ、より良い人間関係の構築や、心に余裕を持って良い仕事へ繋げられる」という考え方があります。その意味でも、重要な環境となる新工場が必要不可欠でした。工場を統合し一つにすることで生産性を上げて、仕事とプライベートの充実と、社員の働きがいに繋げたいという想いをずっと持ち続けておりました。
これまで悩み続けていたのが、本社と日立工場の離れている距離でした。なかなか連携が取りづらいですし、かなりのタイムロスも生じてしまいます。もちろん運送コストもかかってしまう。そういった物理的な問題と同時に、精神的な面でも人と人とのコミュニケーションが取りにくい、仕事上の様々なストレスが生じやすい環境にも苦労しました。

やはり会社のトップとしては、一体感を持たせたい気持ちが強くありました。環境をガラリと変え、将来のために新たな企業文化をつくり、生産性を上げていく。更に我々の取り組んでいる新製品の開発や製品づくりのキャパシティーを上げ、仕事の質を高めていきたい。そんな大きな想いが、社長に就任してからずっとありました。

それにはこれらを実現するための環境づくりを何としても実行したい。常にそのことを思い描いていました。そうこうしていると、半導体業界の追い風が吹き将来性が明るい事、縁あって工場用地を購入させて頂けたこと、金融機関の皆様にも応援して頂けたことなど、様々な方々のご支援、ご協力を賜り、新工場の建設という大規模な設備投資を実現できる好機を得ることが出来ました。好条件が重なったことで、念願であった「次の世代のための基盤をつくりたい」その願いをかなえる事ができました。

積極的な挑戦あれば、失敗もまた有益なノウハウに

弊社の行動指針に、経営理念、企業ビジョン、経営戦略の方向性を共有し、社員一人一人が「自ら考え、決断し、行動する」という習慣に徹するという事を掲げています。任された仕事の問題点を、どうすれば解決できるか。どうしたら成し遂げられるか。要は自分たちで考えて行動していこうということです。自ら考え、試すことで色々なことの理解に繋がります。得ることが大きいのです。ここで、省みることが重要で次の大きな成功へとつながるのです。

ですから、私は社員が挑戦して失敗することに関して、責めることはせずに失敗により得たものを、どう活かすか、どう挽回するのかを重要視します。得る知識や経験が大きいからです。省みることを全社員が強く意識することにより、前向きな企業文化、企業風土が出来上がっていきます。そのような企業風土を作る為には10年、20年に及ぶ期間が必要だと思っております。長い歳月に加え、その間はずっと組織の上層部が率先して発言、行動、方針の面で示していかなければ、社員は同じ方向を決して見てはくれません。トップが根気よく繰り返し、スタンダードにしていくしかないのです。

有難い事に私には、耳の痛いことを進言してくれる方々がおります。そして、社員の中にもはっきりと進言してくれる者もいます。これは本当に心から感謝したい。常に自分を律し、真摯に周りの言葉に耳を傾けることで、理想の企業風土、企業文化を築き上げていきたいと思っております。

そして、伝え方という面でも、常に自問自答を繰り返しています。その対象は、私の考えていることを体現し、具体的に社員の皆様に伝えてくれている管理職の方々です。その方々との意志の疎通が新熱工業の肝となる部分。どのようにしていけば考え方を共有して頂けるのだろうか?と毎日、答えを探しています。これは強制で押し付けられるものでは決してありません。強制的に動かせても、トップがいなくなった途端にタガが外れて会社がガタガタしてしまっては全く意味がありません。

また、今後重要視していきたいこととして、縦割りの動き方だけでなく、横のつながりとして活動する取り組みも強化していきたいと考えています。現在取り組んでいることとして、例を挙げると安全衛生委員会や改善提案委員会、そしてISO14001の認証取得を目指したプロジェクト等です。これらの活動も管理職ではない社員が多く参加しており、横のつながりによる社内活動として、私もその責任者として共に活動を行っています。横の連携が強くなれば、最強のチームを作ることが出来ます。そう簡単な事ではありませんが、あきらめずに取り組んでまいります。

原点に立ち返り、たゆまぬ精査で応用・発展に繋げていく

ヒーター単体や機能部品だけでなくこれらをパッケージ化して新熱工業のオリジナルな製品を世に打ち出したい。この目標については、外注先の会社様にご協力を頂きながら「過熱水蒸気発生器」「過熱水蒸気発生装置」という製品を完成させて販売するという一つの新しいビジネスを実現することが出来ました。0から1への大いなる一歩。弊社の新しい柱とまではなっていませんが、新たなビジネスモデルとして構築することが出来ました。

2007年から稼働しているラボラトリー(社内実験室)には自社で開発した過熱水蒸気発生装置が設置されております。これらを活用し、実験・検証を試したいというお問い合わせを沢山のお客様から頂戴しました。実際に実験し、具体的に検討して頂けるという理想的なビジネスの流れが生まれたのです。お客様と共に実験作業を通し、直接接することで世の中のニーズも具体的に掴むことが出来ます。嬉しいのは、お客様に立ち会う若手社員にとって大きな勉強になっていること。実験の結果から、「ではこのプロトタイプをつくってもらえますか?」とご要望を頂いた際は彼らも大変やりがいを感じる事ができます。
今後も、過熱水蒸気に限らず新たな機能性を持たせた製品を開発していく所存です。

そして、シーズヒーターは我々にとって間違いなく根幹の製品。先輩方が築き上げてきたのは、頭の中で考え、高い技能で仕上げられてきたものです。今まで培われてきたところを上手に活用し、我々の世代でシーズヒーターのコアとなる部分をさらに追究し、数値化して押さえ、強みを更に強固なものへと確立させたいです。原点に立ち返り、設備の充実した新工場で応用展開。それが未来に展開するための礎になるものと、我々は明言します。